国家の罠 – 外務省のラスプーチンと呼ばれて(出版:2005/3 著:佐藤優)

国家の罠 感想

本書は「こんなんあるんかいや!?」と、
結構過激なので分別の着いた大人(18歳以上)向けです。

「鈴木宗男事件」。
外交官として、鈴木さんと共に「対ロシア交渉」の最前線にいた著者の佐藤さん。
国民への見せしめのように、鈴木さんに連座するような形で逮捕された著者の数百日に及ぶ「東京拘置所独房ライフ」と、北方領土を巡るロシア情勢を、分かりやすく後世に残そうとした手記です。

読後にまず感じたのが、著者・佐藤さんの記憶力の凄さについて。

昔の会話の細部まで、よく覚えてるなと圧倒されます。
そして、綴られる文章が読み易くて、またびっくり。

外交官として異国文化でもまれながら、活躍した著者が語る濃厚なロシア情報も満載です。

ソビエト連邦崩壊後、
新生ロシアの知の巨人達は、何を大事にして生きてきたか。

なかでも、所々に出てくる、各国要人との会話の回想シーンが、私は一番グッときました。

近いわりには、なじみが薄い「ロシアの文化」を感じるのにも良書です。

拘置所の最期の方では、謁見する弁護士からのアドバイスとともに、検察との息詰まる攻防など緊張感がひしひし伝わってきます。

本書の名前(国家の罠 )がおっかないので、誰かに勧めにくいという点だけがマイナスです。

著者の想いはきっと皆に伝わったと思うので題名を変えて、大学の生協なでで販売しても良いかと。

著者ご自身、
執筆活動を続けるとは、
露も思っていない頃の処女作品です。

良書としてなんとか残そうという
著者の気合が強く感じられます。

「国を動かすような要人は、どういう思考で行動しているのか?」

本書を読めば、
数時間で、それらを垣間見ることができます。

さあ、貴方も、
読んでみいへん? 読んでみたん!?